2026.08.17
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会社ブログ

私はひとりなのに、AI から見たら「複数人」だった ── ハブを「どこからでも」引き出せるようにした話

みなさん、こんにちは。主査のMです。

前々回、前回と続けてお付き合いいただいている、私の「AI の外付け脳」計画。前回の記事では、日々あちこちに散らばっている自分の書きものを一箇所に集めて『ハブ』を作った話を書きました。おかげさまで、AI が私の過去の判断を思い出しながら話してくれる場面が、ぐっと増えました。

ところが、そのハブを 1 ヶ月ほど使っているうちに、また別の壁にぶつかりました。今回はその壁と、それをどう越えたかの話です。

気づき:問題は「集める」ことではなく「どこから引き出すか」だった

私は普段、仕事場で複数のパソコンを使い分けています。持ち歩きやすいノート型、腰を据えて開発する据え置き型、お客様先で使う社給端末。それぞれの前に座って、それぞれで AI と会話しています。

前回作った「ハブ」は、その中の 1 台の中に住んでいました。つまり、AI がそのハブを覗きに行けるのは、そのマシンの前に座っているときだけ。

別のマシンで作業を始めた瞬間、AI にとってはまた真っ白なスタートです。「前にどこかで似た話をした気がする」と私が感じても、AI にはそれを確認する手段がない。結局、私が思い出して手動で教えてあげるという、以前の状況に半分戻ってしまっていました。

要するに、「情報が散らばっていた」問題は解決したのに、「情報を引き出せる場所が散らばっていた」問題が残っていたわけです。私はひとりなのに、AI から見た『私』は、マシンの数だけ別々に存在していたということでもあります。

やったこと 1:各マシンから、一箇所に自動で集める

まず、各マシンで発生する会話ログや作業メモを、集約役として決めた 1 台のマシン(家に置いてある据え置き型)に、定期的に自動で送る仕組みを入れました。1 時間に 1 回、そのときに増えた分だけを、こっそり運んでくれます。私は普段まったく意識しません。

意識しないというのが、けっこう大事なポイントでした。「思い出したら手動で送る」だと、忙しい日はほぼ間違いなく忘れます。忘れた瞬間からハブは古い情報になっていき、AI が返してくれる答えの精度も少しずつ下がっていく。自動化して初めて、ハブが「今の私」を反映し続けてくれるようになりました。

やったこと 2:どのマシンで会話しても、そのハブから引き出せるようにする

集める仕組みができたら、次は「どこから会話しても、そのハブを検索できる」ようにする番です。

これも、各マシンの AI に対して「必要になったら家のハブに問い合わせてもいいよ」と教えておくだけ。あとは AI が勝手に「これ、以前同じような話をしていないか調べてみよう」と判断して、ハブに聞きに行ってくれます。

結果、AI が返してくる答えの中に、こんな断り書きが混じるようになりました。

「以前、別のマシンで同じような設計判断をされていますね。その時はこういう理由でこちらを選ばれたようです。」

これを最初に見たときは、正直ちょっと感動しました。私自身が忘れていた自分の判断を、AI が思い出してくれる。しかも、その判断をしたときのマシンとは別のマシンで会話しているのに、です。

学んだこと:「一人で複数の場所を持っている」ことを、まず認める

今回の実験でいちばん腹落ちしたのは、「私はひとりだけど、働く場所はひとつじゃない」というごく当たり前の事実でした。

前回、「情報を集める場所」を 1 つに絞ったとき、私は「これで統一できた」と思っていました。でも実際に統一できていたのは『集める側』だけで、『引き出す側』はマシンごとにバラバラのままだったのです。

「集める」と「引き出す」は別の話。両方をそろえて初めて、AI にとっての『私』が 1 人になります。逆に言うと、片方だけそろえた時点で満足してしまうと、AI から見た私は相変わらず「複数人」のままで、話が噛み合わない場面がずっと残り続ける。今回はそこにようやく手が届いた、という感覚です。

まとめ:AI が「あなたの過去」を横断してくれる時代の入口

やってみて実感したのは、こういう仕組みは 1 台のパソコンの中で完結しないほうが、むしろ自然だということです。私たちは仕事の場を複数持っていることのほうが多く、その全部を 1 台にまとめるより、「複数を許した上で、AI 側から一箇所に見に行かせる」方が、実態に合っています。

これからは、この仕組みを社給端末やお客様先の端末にも少しずつ広げていく予定です。全部がつながったら、AI は本当の意味で「あなたの過去」を横断して答えてくれるアシスタントになるはずです。

みなさんは、複数のパソコンや端末を使い分けながら仕事をしていますか。もし 1 人で複数の場所を持っているなら、その場所を横断して「あなた自身の記録」にアクセスできる仕組み、案外重要かもしれません。